食に関わる生物の生理機能を理解し、未来の食と環境を革新する最先端科学。

博士(理学) 髙瀬 清美

東北生活文化大学短期大学部 生活文化学科 講師

石巻専修大学共創研究センター特別研究員を経て、2025年4月より現職に就任。

自身が設立した一般社団法人マリンエコバイオ研究所の代表理事も務める。

専門分野は食と環境、食品衛生、食品微生物、食品機能、水族動物、動物生理など。

研究内容

私たちの「食」は、さまざまな動物や植物の命の循環によって成り立っています。このかけがえのない命の恵みを次の世代へとつなぐため、当研究室では、生物の生理機能を理解しながら、人と地球に優しい持続可能な食環境の構築を目指しています。

主な研究テーマ

農水産物由来の未利用・低利用資源の利活用に資する研究

 農作物の枝葉や採油粕、またマボヤ殻やホタテウロ処理物など、現在そのほとんどが廃棄されているものも実は貴重な資源です。私たちはこれらの資源を用いて養殖魚や家畜動物用飼料の開発を行うことで持続可能な農水産業の発展を目指しています。

水産食品の安全・安心や高品質化に関する研究

 水産食品の安全性を守るため、オゾンマイクロ・ナノバブル等の技術を用いたマガキのノロウイルス除去法の開発やマボヤの鮮度保持に関わる研究を行っています。また、超微細氷ナノアイスや食品由来成分等がマアジ・マサバ・イカナゴ(小女子)・ます類等の魚類の鮮度に及ぼす影響を調査しています。さらに、減塩効果を有する速醸自家魚醤の開発も行っています。

養殖魚や家畜動物等のストレス軽減および健康増進に関する研究

 現在、水産・家畜動物等に対するアニマルウェルフェア(動物福祉)が重要視されています。私たちの「食」を支えてくれる動物たちの心身の健全性を守るため、適切な飼育環境の整備やストレス軽減、免疫力の向上につながる餌の開発に取り組んでいます。安心・安全な食品素材を活用し、様々な環境変化にも対応できるよう、その生物本来の防御機能を最大限に引き出すことを目指しています。

生物機能を用いた環境評価や環境修復に関わる研究

 「食」を取り巻く環境を守るため、水田や河川、沿岸域等の環境ホルモン、重金属、各種農薬成分やネオニコチノイド系殺虫剤等の水中濃度等を調査しています。また、そこに棲息する生物へのこれらの影響を行動や生理的指標を用いて評価しています。